ごきげんよう。
麗らかな空気漂うはずの放課後の薔薇の館は、
何やら殺伐とした雰囲気に満たされております。
私の愛するお姉さまなんか、額に青筋まで浮かべてたり。

 

 

第一次三薔薇戦争



「……今何と言ったの令…もう一度言ってごらんなさい」
「つぼみはみんな可愛いけどね、由乃がいっっっっちばん可愛いから」
「表出ろ」

いけません!お姉さまったらキャラを忘れているようです。
誰かがこの事態にストップをかけないと。
でも令様を止める役目に最適な由乃さんは、眠そうな目をして令様を眺めています。
めんどくさい、という気持ちを前面に押し出してますね。
止める気はさらさらないようですねちくしょう。
志摩子さんは優雅に紅茶を飲んでいました。
後ろにある窓の光が志摩子さんに射しているのでなんだか幻想的!
さながらリアルマリア様です。
そんなリアルマリア様こと志摩子さんも止める気配はありませんくそう。
乃梨子ちゃんは我知らずと仕事に没頭しています。
私なんかではお姉さまたちのいさかいを止められそうにありません。
ああ、どうすればいいのでしょうマリア様。

ガタン

志摩子さんが急に椅子から立ち上がりました。
こ、この争いを止めてくれるんですね!
マリア様はいらっしゃった!!
この時私はそう思いました。
薄く微笑み口を開くマリア様、もとい志摩子さん。
そして声高らかにこう宣言しました。

「乃梨子が一番可愛いです」

なんということでしょう、マリア様は火に油を注ぎにきたようです!
私の今までの信仰心を疑いたくなるような事態ですちくしょー!

「なんですって……?」
「…もう一回言ってみようか志摩子」

途端に殺意がぶわっと充満する薔薇の館。
三薔薇様のぶつかりあう視線の音がさながら雷鳴のように響きます。
 い、いけない…こんな三薔薇の気迫にただの蕾の私が敵うわけない。
逃げなければ、由乃さんも連れて、ってあれ?由乃さんがいない!?
一人でさっさと逃げたのね!ひどい!あれ?乃梨子ちゃんもいない!ひどすぎる!
わわわわわ私も早く逃げなきゃ、あ、あぶなぬわーーーーーーーーーーーー!!!!11
 

 

+++++




「どう瞳子、これが俗に言う第一次三薔薇戦争よ、わかった?」
「ちょっと理解しかねますわお姉さま」



END
 

 


勢いでやった、反省してる。
11/2/7 加筆・修正しました。
 

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